「エンロン」- ENRON:The Smartest Guys in the Room -
アレックス・ギブニー監督、べサニー・マクリーン/ピーター・エルキンド原作。エネルギー業界の規制緩和の波に乗り急成長をしながら癒着報道から46日で破綻、負債総額2兆円失業者2万人となったエンロン事件を、元社員の証言、内部資料のビデオ映像や音声で綴るドキュメンタリー。以前に「エンロンワールドコムショック」を読んでもピンと来なかったが、人物に焦点を当てているこの映画は分かりやすい。元CEOケネス・レイ(2006年7月に心臓発作で死亡)、元CEOジェフリー・スキリング、元CFOアンドリュー・ファストウらの人間像を掘り下げている。魑魅魍魎の様なトレーダーたちの影も怖い。この狂気の連鎖をミルグラム実験(アイヒマン実験)で説明している。時価主義会計によるの見かけの水増し利益、カリフォルニア電力危機に乗った儲け方など第三者的には喜劇の様。日本人が見るとやはりライブドアを連想する。(memo:フォーチュン誌「アメリカで最も革新的な企業」1996〜2006年6年連続)(memo:投資銀行ベアリングス銀行破綻の映画「マネー・トレーダー 銀行崩壊」)
http://www.enron-movie.com/
「善き人のためのソナタ」- Das Leben Der Anderen -
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督脚本。冷戦下1984年の東ベルリン、シュタージ(国家保安省) 局員のヴィースラー大尉(ウルリッヒ・ミューエ)は劇作家ドライマン(セバスチャン・コッホ)とその恋人で女優のクリスタル(メルティナ・ゲデック)の反体制の証拠を掴むために盗聴を始める…。終わりまでやや冗長な展開でちょっとダラダラした印象を受けるが、ラストにかけては一気に盛り上げ、素晴らしい余韻を残す。この社会が実際にあった思うと重みを感じる。以前、"60ミニッツ"で報道されていた、閲覧可能になったシュタージの監視記録により近親者友人の監視密告を知った人々の悲劇を思い出す。
http://www.yokihito.com/