電子竹林:Blog(アーカイブ)

電子竹林:Blogの2019/1/20までのアーカイブです、最新のものは→ https://zom-1.hatenablog.com

「君のためなら千回でも」- The Kite Runner -

マーク・フォスター監督、デイヴィット・べニオフ脚本、カーレド・ホッセイニ原作。米国で生活を送るアミール(ハリド・アブダラ)の元に懐かしい人から電話がかかってくる。少年時代のアミール(ゼキリア・エブラヒミ)は、ソ連侵攻前の平和なアフガニスタンの裕福な家に生まれ、召使いの子供のハッサン(アフマド・ハーン・マフムードザダ)と兄弟の様に暮らしていた…。これは文句無く傑作、今年のベスト10入りは確実。舞台となるアフガニスタンの首都カブールの平和な時代、ソ連侵攻、タリバン政権下という語られる事がなかった世界は衝撃的。大きな歴史的うねりの背景の中でも中心となるテーマは過ち、許し、償いという極めて人間的なもの。だからこそ観客の心を打つ。ラストへの思いがけない展開と緊張感の出し方も巧み。戦闘機のドッグファイトみたいな迫力で描き出す、凧揚げ合戦はいいアクセントとなっている。いい映画だった、マーク・フォスターの代表作となるだろう。
http://eiga.com/official/kimisen/

「いつか眠りにつく前に」-Evening-

ラホス・コルタイ監督、スーザン・マイノット原作脚本、マイケル・カニンガム脚本。死の床にある老婦人アン(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)は混濁した意識の中で、二人の娘も知らないハリスという名を呼ぶ。1950年代、歌手を目指す24歳のアン(クレア・デインズ)は、親友ライラ(メイミー・ガマー)の結婚式のために訪れたロードアイランドで、医者のハリス(パトリック・ウィルソン)と出会う…。監督はトルナトーレ作品などの撮影監督で、これが監督二作目。全体的にはいい話なのは分るが、なんかまったく乗れなかった。出だしから映像に凝っている事は分るがそれほど印象的なシーンは無い。エピソードも面白くないしテンポが悪くメリハリもない。女優陣はダブル親子競演、老年ライラ役がメリル・ストリープ、若き日のライラがストリープの実娘メイミー・ガマー。老年アンがヴァネッサ・レッドグレイヴで、アンの長女コンスタンス役はレッドグレイヴの実娘のナターシャ・リチャードソン。豪華なのか親の七光りなのか、豪華対決の割には最後のストリープの登場以外は、たいした緊張感も無く平凡だった。観る人を選ぶのか??
http://www.focusfeatures.com/evening/