電子竹林:Blog(アーカイブ)

電子竹林:Blogの2019/1/20までのアーカイブです、最新のものは→ https://zom-1.hatenablog.com

「数学的にありえない」上下 - Improbable - Adam Fawer

アダム・ファウアー(処女作)。天才的計算能力を持つデイヴィット・ケインは癲癇発作と神経失調のおかげで統計学講師の職を失い場末のギャンブラーの生活を送る。北朝鮮に情報を売り渡そうとするCIA工作員ナヴァ・ヴァナー、謎の研究を続けるドクター・トヴァスキーとケインの運命が交錯する…。第一回世界スリラー作家クラブ新人賞…だがミステリー性は低くほとんどSF的。数学的才能を活かして窮地を脱するのかと思いきや奇想天外な才能を開花させていく…「マトリックス」みたいな次元で、そりゃ助かるだろう。映画を意識したジェットコースターな展開だが、イマイチ軽過ぎる印象。統計学も知っている範囲の雑学程度。
http://www.amazon.co.jp/dp/4163253106/

「神様」

川上弘美。ちょっと日本的でファンタジックな9篇の短編集、「神様」「夏休み」「花野」「河童玉」「クリスマス」「星の光は昔の光」「春立つ」「離さない」「草上の昼食」。言葉を話す熊や人魚や河童がごく自然に登場して、人間と関わっている暮らしの面白さがちょっと楽しい。
http://www.amazon.co.jp/dp/4122039053/

「4TEEN」

石田衣良。東京は月島、中学二年生の同級生ナオト、ダイ、ジュン、テツローの友情、恋、性、病気…。直木賞受賞作。物語としては詰まらなくはないけど、大人が描いた中二という不自然さは最後まで残る。エピソード的にもそれほど面白くないし、なんで直木賞なんだろうか。
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「冠婚葬祭のひみつ」

斎藤美奈子。近代の冠婚葬祭の成り立ちを検証し、その意味を問い直す。団地住まい、核家族が生まれた頃の1970年、塩月弥栄子「冠婚葬祭入門」は大ベストセラーになった。そんな頃からマニュアル化した冠婚葬祭をかなりアグレッシブに批判する。特に「お金のかからぬ葬儀の秘訣」は役に立ちそう。(mem:女性が十代の場合の81%、20〜24歳の58%が「でき婚」、女性が十代で結婚した場合の58.4%、20〜24歳の42.5%が離婚)(memo:NPO手元供養協会)

「iモード事件」

松永真理。いまさら読んでもナンだけど旅行の途中での軽い読み物がなかったので…、1997年にリクルートとらばーゆ」編集長からスカウトされNTTドコモゲートウェイビジネス部企画部長としてiモードのコンテンツ開発を担当した著者の秘話。マッキンゼー経営コンサルタント軍団の語り口など面白い所もあるが、概ね平凡な内容。開発物語の名著「超マシン誕生」や「闘うプログラマー」には遠く及ばない…当然か。
http://www.amazon.co.jp/dp/4043566026/

「彼らの流儀」

沢木耕太郎。エッセイでも小説でもノンフィクションでもない。有名無名な様々な人間の一番面を切り取った33編。旅行中の読み物としては「深夜特急」が最高だと思っていたので旅行用になんとなく選んでみたが、意外に面白い。旅行に似合う本。チャーミーグリーンCMの二人の7年後、大晦日の夜に緊急連絡先の紙片に書く名前を悩む女、サウジアラビアの砂漠の雪などなど。
http://www.amazon.co.jp/dp/4101235120/