「神童」
萩生田宏治監督、向井康介脚本、さそうあきら原作。音大浪人生のワオこと菊名和音(松山ケンイチ)は、13歳の天才ピアニスト成瀬うた(成海璃子)と偶然に知り合う。レッスンをさぼってばかりのうたはワオの実家の青果店に入り浸るようになるが…。原作はコミックの中では生涯ベスト5に入るほど好き…なだけにこの出来は大ショック。期待度の高さを差し引いて、極々ふつうの映画でしか無い。黒目がちな目の成海璃子の雰囲気はうたとしては悪くないが、大人っぽ過ぎる。演出的にはうたの野生児、天才児ぶりは出ていない。"大丈夫、あたしは音楽だから"の台詞はいいが、たった一音でホールを圧倒する神がかりさは無い。ここには音楽の神はいない。ラストも原作とはかなり違うが、いい方向には変わっていない。串田和美と吉田日出子が音大教授役で出演、うたの演奏は和久井冬麦。
http://www.shindo-movie.jp/
「リアルワールド」
桐野夏生。母親を撲殺した少年ミミズ、その隣に住む高校三年の女子高生トシ/ホリニンナはミミズと携帯電話で繋がる。そして友達のテラウチ、ユウザン、キラリンはミミズの逃走に関係していく…。それぞれのキャラの裏を描こうとしている所は面白いが、ステレオタイプで無いのはいいとしても、どうも作り物臭いキャラばかりに感じる。もっと過激だった「OUT」の方がすんなり受け入れられたのは、やはり著者と主人公との距離感ではないか。
http://www.amazon.co.jp/dp/408746010X/