「丘を越えて」
高橋伴明監督、今野勉脚本、猪瀬直樹原作「こころの王国〜菊池寛と文藝春秋の誕生」。テキ屋と芸者の両親、下町の竜泉寺町に育った葉子(池脇千鶴)はモダンガールに変身、文藝春秋社の面接を受け、社長・菊池寛(西田敏行)の個人秘書として採用される。葉子はそこで、若い朝鮮人の編集者、馬海松(西島秀俊)に出会う…。時間があったので通りがかりに飛び込んで観た。池脇千鶴主演、菊池寛の映画だという事も知らず予備知識ゼロ、原作も未読。生活第一芸術第二を信条とする菊池寛は漱石「こころ」に対抗するため「心の王国」を書いた、と理解する会話あたりに文学的なテーマを感じるんだけど、全体的に主題は曖昧。ヘンに恋愛関係だけでドロドロして、最後だけはつじあやの「丘を越えて」で明るく謎なエンディング。池脇千鶴はいいけど、西田敏行は50歳前には見えないなあ。(葉子のモデルは「人間・菊池寛」の佐藤碧子)
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