電子竹林:Blog(アーカイブ)

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「黒い家」

貴志祐介 角川ホラー文庫。第4回日本ホラー小説大賞。この小説を今読めば、誰でも毒物カレー事件の真須美容疑者を連想するに違いない。それほど、登場人物の菰田幸子と重なる所が多い。主人公は生命保険会社に勤める若槻慎二。顧客の菰田家で子供の首吊り死体の第一発見者となる。死亡保険金の請求から、独自調査が始まり、次々と真相が明らかになっていく。背徳症候群(情性欠如を含む複数の人格異常)の犯人、その絶対的な悪の感覚が怖い。登場人物、みんなそれぞれがどこか壊れた部分を持っているのも不気味。なんか、現代的な精神病理の感覚がつきまとっている。小学生の時の夢の作文なんか、淡々としていながら怖さを持っていた。