電子竹林:Blog(アーカイブ)

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「閉鎖病棟」 ☆

帚木蓬生、新潮文庫。 面白かった。帚木蓬生と言えば、1993年の吉川英治文学新人受賞作「三たびの海峡」を読んでかなり面白かったという記憶はあるのだが、それ以降は読んだ事なかった。舞台は精神病院。現役精神科医の著者だけあって、患者である登場人物を見る目は、好奇心でも同情でも差別でも無く、非常に客観的であり、そこがこの小説をかなり面白くしている点である。精神病院に何十年も住む気持ち、そして病院の外へ出るのを恐れる気持ちが、最後には共感出来てしまう。ラストの上手さも見事。