電子竹林:Blog(アーカイブ)

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「あふれた愛」

天童荒太 集英社。96年から99年に小説すばるに載ったものの短編4作の書き直し。「とりあえず、愛」-- 育児ノイローゼ、子殺し願望の妻。「うつろな恋人」 -- 不安神経症によりストレスケアセンターに入院する塩瀬が出会うウェイトレスの智子は幻想の恋人を持っていた。「やすらぎの香り」-- 精神科の患者の奥村香苗と同棲相手の秋葉茂樹の二人の恋人。「喪われゆく君に」 --コンビニで突然死んだ男の未亡人宮前幸乃とコンビニの店員の保科浩之。それぞれの物語は、天童荒太らしい不安定な心を扱っている。「永遠の仔」や「家族狩り」の様な圧倒的な読ませる力は無いものの、それぞれ面白い部分は多い。