電子竹林:Blog(アーカイブ)

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「スローフードな人生!-イタリアの食卓から始まる」

島津菜津 新潮社。イタリアにおけるスローフード運動の事は聞いていたが、単にファーストフードの対抗運動という認識でいた。それは大間違いだった。現代社会はファーストライフという共通のウィルスに感染している。ファーストライフに対抗する概念として生まれたスローライフの実現、その手段としてのスローフードという捉え方が正しいのだろう。スローフード協会は北イタリアの田舎ブラに本部を置く国際団体で、次の3つの指針を掲げている。1. 消えてゆく恐れのある伝統的な食材や料理、質のよい食品、ワイン(酒)を守る。2. 質のよい素材を提供する小生産者を守る。3. 子供たちを含め、消費者に味の教育を進める。郷土料理の風味と豊かさを発見すること、ファーストフードによる没個性化に対抗すること、食べ物を通じて自分と世界の関係を見つめ直す事など、イタリアの田舎のおおらかな活動が楽しい。目指す世界は同じだろうが「狂食の時代」の様なマイナス面ばかりを挙げるのでは無く、身近な所からの変革するという内容がいい。日本のスローフード協会のサイトを見るとなんか違うなあという印象を受ける。詩人ポルティナーリの懸念、スローフード協会は資本主義原理に支えられた商業ベースのグルメ団体に近づきつつあるのでないか、というのが当たっているのでは。